プロパンガスは都市ガスと比較して、料金が高くなる傾向があります。そのため、賃貸物件に住んでいる方で「プロパンガス会社を切り替えたいけど、どうすればいいですか?」という質問が当サイトにもよく寄せられます。
しかし結論から言うと、賃貸物件に住んでいる場合のプロパンガス会社の変更は絶対に無理というわけではありませんが、かなり大変です。
そこで今回は賃貸物件で入居者がプロパンガス会社を変更する方法や、契約変更が難しくなっている理由を詳しく解説します。賃貸物件に住んでいて、プロパンガス料金に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
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プロパンガス料金の仕組み
まずは簡単にプロパンガス料金の仕組みを紹介します。プロパンガス料金は下記の式によって算出されます。
- 基本料金+従量料金(使用量×従量単価)
例えば、基本料金が1,650円で従量料金が1㎥当たり500円の料金設定のとき、ガスを10㎥使用すると1,650円+(10×500円)=6,650円となります。
プロパンガスの料金は法律や制度の規制がない自由料金であり、事業者による独自の価格設定が可能です。少しでも料金設定が安いガス会社をと契約することでガス代を安くできます。
関連記事:プロパンガスの料金はどうやって計算されるの?料金システム・仕組みを初心者にもわかりやすく解説!
賃貸物件の入居者が知っておくべき基礎知識
次に賃貸物件で入居者がガス会社を切り替えることが可能かどうかを説明する前に、知っておくべき基礎知識を紹介します。
ガス会社の契約決定権は大家さんにある
プロパンガス会社を選ぶ権利を持っているのは物件の所有者です。持ち家の所有者や店舗・事務所のオーナー、マンションやアパート等の賃貸物件の所有者(大家さん)が該当します。
そのため、賃貸物件の入居者は物件の所有者ではないので、プロパンガス会社を選ぶ権利を持っていません。
賃貸物件のプロパンガス料金が高くなる原因
大家さんは数多く存在するプロパンガス会社の中から、最も条件が良い事業者と契約します。賃貸物件の大家さんにとって、物件に付属するガス設備の購入・維持・管理には大きなコストがかかります。ガスに関する設備だけで考えてもガスの配管や給湯器などを用意しなければなりません。
厳密にはこうした設備はなくてもよいのですが、不十分な設備しかない物件は入居者に敬遠される可能性もあるため、大家さんとしてはできるだけ揃えておいた方が無難だと考えます。
一方で、プロパンガス会社にとって大家さんは重要な顧客です。大家さんの信頼を得て契約を結んでもらうため、プロパンガス会社は大家さんの悩みであるガス設備を無料で貸し出すことにしました。こうした契約を無償貸与契約といいます。無償貸与契約は大家さんにとって有利な契約であるため、多くの物件で採用されています。
関連記事:プロパンガスの無償貸与契約とは?仕組みやメリット・デメリット、よくあるトラブルを解説!
無償貸与契約は大家さんにとって有利な契約ですが、プロパンガス会社はガス設備を無料で貸し出して利益を回収できるのでしょうか?
結論、プロパンガス事業者はガス料金に設備費を上乗せして、設備費を回収しています。つまりガス設備を無料で貸し出ししている費用は入居者が負担しています。また、無償貸与契約は通常10~20年程度で締結されている場合が多く、契約期間中に解約する場合は違約金を大家さんが負担することになります。
無償貸与契約を結んでいるかどうか調べる方法
無償貸与契約は入居者にとって明らかに不利な契約であるため、2017年から大家さんはプロパンガスの会社との契約内容を入居者に説明しなければならなくなりました。
これまでは、無償貸与契約の詳細を入居者に知らせる必要はなかったのですが、制度改正後は基本料金・従量料金と区別して「貸与料〇〇円」等と検針票に記載する義務が生じています。
これにより、入居者は検針票を見ることで、自分が契約した物件が無償貸与契約を結んでいるか否かが一目でわかるようになったのです。
入居者がプロパンガス会社を切り替える方法は?
先程、賃貸物件の入居者はプロパンガス会社を選ぶ権利を持たないと解説しました。しかし、絶対にプロパンガス会社を変更できないわけではありません。
ここでは入居者がプロパンガス会社を切り替える方法を詳しく解説します。
入居者の判断だけでは切り替えられない
大前提として、プロパンガス会社と契約するのは物件の所有者である大家さんです。入居者が無償貸与契約や料金の高さに不満があったとしても、自分の判断で簡単に契約変更はできません。
また、1つの物件で複数のプロパンガス会社と契約することもできなくはないですが、管理の手間がかかりすぎることから現実的にはほぼあり得ません。
大家さんを説得する
賃貸物件の入居者がプロパンガス会社を変更したいのであれば、大家さんと交渉しなければなりません。現状の契約が大家さんにとってメリットがあるものであれば、交渉は難航するでしょう。そのため、大家さんを説得するには、入居者の利益だけではなく大家さんの利益も考えなければなりません。
では、大家さんにとってプロパンガス会社を変更するメリットは何でしょうか?一番のメリットは入居率のアップです。ウクライナ戦争や円安の影響により光熱費を含む物価が高騰しており、入居者は少しでも経済的負担が安い物件を探す傾向にあります。その他にも大家さんのメリットとなり得ることを考えて提案することで、大家さんを説得できる可能性が高まるでしょう。
一方で、大家さんがプロパンガス会社の変更をためらう理由の一つに手続きの煩雑さや違約金負担があります。違約金負担について入居者側から提案できることは少ないですが、切り替え先のガス会社によっては違約金負担をしてくれる場合もあります。そのようなガス会社を自分で探して、少しでも大家さんの負担が軽くなるように提案してみましょう。
他の入居者との協力も必要
大家さんを説得する場合、入居者同士で協力するのも非常に有効な手段です。一人でプロパンガス会社の変更をかけあっても、他の入居者から要望がないからこのままでいいと言われてしまったら、それ以上の交渉は難しくなります。
しかし、複数の入居者で大家さんに説得することで契約変更を求めている声を民意として伝えることができますし、大家さんとしても交渉に応じないと入居者が一斉に退去してしまうリスクを考えて、プロパンガス会社の変更を前向きに検討してくれる可能性が高まるでしょう。
まとめ
これまで、プロパンガスの契約では大家さんにもメリットがあることから無償貸与契約を結ぶことが多かったかもしれません。しかし、契約が不透明であるため、国民から不満と不信の声が上がってきました。昨年1年間のプロパンガス料金に関する国民生活センターや全国の消費生活センターへの相談は2,140件を数えています。
こうした批判をうけて経済産業省が是正に乗り出しています。2023年7月、経済産業省はエアコンや給湯器などのガス供給に直接関係ない設備費用を入居者に負担させることを禁止する方針を発表しました。
そのため、設備費用を上乗せできないかわりに、基本料金や従量料金を値上げするガス会社も増えることが予測されます。今後はよりお得なプロパンガス会社と契約することが光熱費を削減する上では重要になるかもしれませんね。
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